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誕生ものがたり

「牛や」のこだわり

 私たちは各地の帆布製品を研究し、独自の作業工程を確立しました。

bousui.jpg通常の一般的な帆布にくらべ1インチあたり横糸が2本多く、密度を上げた帆布を使用し、通常トラックの幌にしか使用されない

「ドラゴン防水」という特殊な防水メニューを採用しています。

これは通常のパラフィン(ろうびき)防水をしたものを一度乾燥させてからもう一度パラフィンで防水加工する方法です。
これによって、洗い加工を入れてもコシが抜けない生地に仕上げます。

さらに色落ちを防ぐためジーンズのウオッシュ加工専門工場で洗いをかけ、この洗いにより、綿生地を萎縮させ、後の製品の変形を止めています(かばんのカブセがひっくりかえる等)。

こうして、ガチガチに目の詰まった防水で色落ちしにくい、牛やオリジナルの帆布生地になります。

もちろん他社の生地よりも相当硬いですし、伸縮率の違う"ミミ"は使えませんから、中央部の目の揃った
所のみ使用し、加工はもちろん一点一点「カナヅチ」で叩きながらの成形になります。

この硬く加工しにくい生地のため、オーダーメイドには向かない、設計泣かせの生地でもあります。

 「牛や」のかばんは、帆布と牛革の組み合わせが特徴となっております。

kawa1.jpg「牛や」は革にもこだわり、付属の革にはイタリアの「ブッティロ」をはじめ、
「フルベジタブルタンニン」なめしという方法でなめしたものを使用しています。これは植物由来のタンニン(渋)を使うなめし方で、古来から行われているなめしとなります。
このなめし革は時間の経過とともに日の光で徐々に味わいの深い色と
なり、使い込むほどに独特の艶を醸し出します。
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 また磨けば更に艶が
出ますから、
「フルベジタブルタンニン」
の皮革は昨今の大量生産の皮革とは質の面で大きな差を生んでいます。

 また、様々なシーンで使えるよう、親しみやすい色やデザインに
心がけています。使い込むほどに味わい深くなる「牛や」帆布かばんならではの素材感を楽しんでください。

「牛や」が「帆布」を選んだ理由

 創設当初のオリジナルかばんは機能性、耐久性、風合いなどを考えて、牛の皮革の素材に
こだわって作っていました。透明感のある発色を求めて「水染め」という方法で革に色をつけて
いましたが、皮革独特の退色(色あせ)や、手の爪などによる引っかき傷がつきやすいといった
デメリットなどもお客様のご意見として 多数いただくようになったのも事実でした。素材そのものが
高級であっても、かばんとしての機能、魅力が意外と早く失われてしまっては本当に良いかばんとは 言えない。お客様の貴重な意見を通して、徐々にそう感じるようになりました。何か、もっと良い素材はないものだろうか...。

 今から25年程birth2.jpg前、私たち のかばん作りコンセプトにぴったり見合った素材を改めて探すことにしました。合成皮革、ナイロン、ビニール...。色々探した中で、綿の
    「帆布」(はん ぷ)に出会いました。

もともとは帆船の帆に使うための布地として作られたほど・・・、トラックの幌、相撲の廻し、野球のベースの表地、テントの天幕布、競走馬のゼッケン等に使われ、丈夫な素材として知られています。

ito.jpgまた何と言っても自然素材ですから、洗ったりこすったりすることによってまるで、ダメージ
ジーンズのように何とも言えない雰囲気が出るのです。
ナイロンでは感じないノスタルジックな風合い、温かさ。
「これなら末永く愛されるかばんができる・・・」そう思いました。

 早速帆布でかばんを作ることにしました。
しかし実際、この素材でかば んを作るには大変苦労しました。

帆布は丈夫な分とても硬く、縫いづらいのです。kiji1.jpg
ドイツ・シュメッツ社製の五寸釘のように太いミシン針を使っても時々折れて しまうほどなのです。

工房スタッフには女性もたくさんおりますが、この硬い素材を持ち上げて裁断し、カナヅチで叩き、ミシンにかけて縫い合わせていく作業で手の指紋も消えてしまうほど頑丈なものなので、

女性スタッフのみならず大変な作業を日々こなしていることになります。
「牛や」が、この扱いにくく縫いにくい「帆布」をあえて選んだのは、この自然素材の持つ風合い、丈夫さが大変魅力的だったからなのです。




なぜ「牛や」?①

 今から35年ほど前のことです。人々に愛されるかばんを多くの人に使ってもらいたい。
                     そんな思いで訪問販売をしていたのが牛やのスタートです。

様々な 売場や企業、家庭を訪問し、お客様の貴重な意見を聞きながらニーズに合った商品を
仕入れ、数多く提供させていただいておりました。 しかし海外の大手ブランドが国内で販売される
ようになると、ブランド品は大流行するようになり、「かばん」はファッション性、デザイン性を強く
追及するようになりました。牛革の高級感ある風合いも、人気上昇の要因でした。

「ブランドバッグを買いたい」singer.jpg
という声がお客様から多数ありましたが、当時ブランド品の
取り扱いは大手百貨店などに限定され、当時のような小さな販売業者ではとても取り扱うことのできないものでした。
 海外老舗ブランド品のようなしっかりした作り、機能性とファッション性を兼ね備えたデザイン、高級感のある質感...。かばんに 期待される要素は大きく変化する時期に来ていたのです。

 「それなら自分でお客様の期待に応えるかばんを作ろう・・・。」

birth1.jpg・・・・そう思ったのが今から約30年前。
しかし、かばん作りに必要な設備はおろか、作り方すらよく分から
ない状況でのスタートとなりました。
 東京の知人から中古の工業用ミシンを2万5千円で譲ってもらい、軽トラックで 夜通し走って山形へ運んできました。
でも、工業用ミシンですから 糸の通し方すらよく分かりませんし、
第一どんな糸を使えば良いのかも分かりません。
この先に待ち受ける、材料の牛革の仕入れ、かばん作りのテクニック、知識なども販売で培ったものでは、皆無に等しいものでした。 
かと言って誰かが、かばんの作り方を指南してくれるわけではありません。
とにかく毎日が試行錯誤の繰り返しでした。

なぜ「牛や」?②

 朝早く起きてから2時間ほど材料とにらめっこしながらかばんの作り方を独学で研究、
その後は今まで通 りかばんを販売するために職場やお客様の家を訪問し、夜にはまたかばん作り。
ひたすら悩み、そして練習し、試作品を作りました。
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そんな日々を送るうちに、話が広がり、鞄の製造の知人や職人の知人も増えてきました。
練習、実践、試作、また練習・・・
そうこうして、かばん作りを始めていくうちに、「こんなに繊細な技術が要求される物作りはそうそうない」
と感じました。わずかな縫い目のずれがかばん全体にゆがみを起こし、見た目はおろか機能すら損なわれてしまうのです。
ぴったり左右対称に縫わないと、かばんを立たせることすらできないのです。

syoku4.jpgこうした努力を毎日毎日、そして5年程続けた結果、ようやく納得のいくかばんが出来上がりました。

テーマは「使いやすいこと」。

かばんはファッションの 一部である以前に、「荷物を運ぶ」機能を十分に持ち合わせていなければなりません。

毎日使う物だからこそ機能性、耐久性にこだわります。
そこに手触りの良さ、飽きのこないデザイン、風合いを調和良く組み合わせたかばんこそ、たくさんの人に愛されるかばんであるに違いない・・・。

そんな思いで一心不乱にかばんを作 り、ついに生み出したのは小さな牛革の鞄でした。

 仕入れた他のかばんに混じって、訪問先でオリジナルのかばんが販売されるようになると徐々に
評判になり、多くの皆様に手作りかばんが愛用されるようになってきました。
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知人の職人も賛同し、いざ大手百貨店のかばん売り場に商品を並べる許可をいただき、そこからまたたくさんの人に自分たち作ったかばんを知っていただくこともできるようになりました。

手造りから始まり、この米沢の「ものづくりの精神」から生み出されるかばんが、一つの形になって
いったのです。
   米沢の「ものづくりの精神」にちなんでオリジナルブランド「牛や」が誕生したのです。

honuno? hohu?

204out.jpg【帆布】という言葉を見て、なんと読むのかと質問されることが
よくあります。


『ほぬの』や『ほふ』とも読めますが『はんぷ』と読むのが一般的です。

一般的といっても【帆布/はんぷ】に対しての世間の認知度はまだまだ低いようで、どちらかと言うとHANPU(はんぷ)というよりもCANVAS(キャンバス)という言葉が一般的ですよね。
どちらも織自体、「平織り(碁盤の目状のもの)」の生地ですから、もともと同一のモノです。

実際、パソコンや携帯で"はんぷ"と入力しても、"頒布"や"ハンプ"としか変換されないことも、「帆布」という単語は世間への浸透性が低いことの表れかもしれませんね。

ちなみにうちも【牛や/ぎゅうや】なのですが『うしや』と読まれることがあったりしますが...。

生地に関しても、ある程度年配のお客様がご来店された際に、「トラックの(幌)ホロだよね?」とか「テントの生地でしょ?」などと言われます。

そうです。
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昭和30年代ぐらいまで、まだナイロン繊維やアクリル、ビニール製品等が世間に浸透して居ない時代、このパラフィン(蝋)防水加工したゴワゴワした「綿」生地が、トラックの幌やテントに使われた素材であることは、好きな方や年代によって認識されているものの、若い世代にはこれが"帆布という生地"である、ということがあまり知られていないようです。

そもそも帆布とは、帆船の帆に使うための厚手で丈夫な生地として、平織りの綿(または麻)で作られたのが始まりで、国内で最初に確認された帆布は織田信長の帆船とされています。yone1.jpg

その後、時代の変化と共に様々な用途に使われるようになり、パラフィンなどで防水加工のモノは、鉄道貨物のシートやテントなどの産業資材として、その他もお酒や醤油のコシ布・道具袋・酒屋さんや牛乳の配達袋・学生カバンなどその丈夫さを活かして様々な用途に用いられ、生活資材としても大活躍してきました。
牛やの帆布の色からも連想されるように軍隊の軍服(国防色の物やカーキの物)などにも用いられました。

牛やではこれを、カジュアルやビジネスやアウトドアシーンに使われる帆布のかばんの素材として使っているわけです。こういうことを知り始めて【帆布】にハマる方も多いようです。

使えば使うほど味の出る帆布鞄のように、知れば知るほど奥が深く、だからこそ興味がわくんですよね。

「良いかばん」とは?

 「使い易いこと」。これがその答えだと私たちは考えます。
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かばんはファッションの一部であると同時に、「荷物を運ぶ」という機能を十分に持ち合わせていなければなりません。
毎日使う物だからこそ機能性、耐久性にこだわります。
ポケットがたくさんあって収納がたくさんできるのが一番機能的かと言えばそうでもありませんし、かといって少なすぎてもいけません。

 「A4の用紙は入るけど、A4のファイルは入れにくい」

というのでは、機能として不十分です。 デザイン優先でいくら見栄えが良くても、「かばん」は棚に飾って鑑賞するものではないはずです。

ファッションよりも先に使い易いこと。
ちゃんと物が入ること、便利 であること、丈夫であること。
穴がすぐ開く、取っ手がすぐ取れてしまうのでは「良いかばん」といえません。そして毎日使うものですから、まるで箸のように 手になじみ、飽きのこないデザインでなければなりません。意外と気づきにくい部分ではありますが、私たちが一番大切だと感じている部分です。

かばんを選ぶということ

私たちの生活であまりにも身近な存在-「かばん」。
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 毎日使うものだからこそ、こだわりを持ちたいものです。ところが、この「こだわり」の部分は人それぞれ異なります。
どんなに使いにくくてもデザインが良ければそれが「良いかばん」だと言う人もいれば、機能性に優れ、丈夫で長持ちするのが
  「良いかばん」であるとする人もいます。

これらは各人のライフスタイルによって大きく異なることでしょう。

小さなセカンドバッグ一個だけで海外旅行に出かけようとする人はまずいません。事務職に就いている人と現場作業員の方とでは、使うかばんも異なるに違いありません。ですからかばんを選ぶときには、自然と自分の生活にあわせたかばんを選んでいることでしょう。

好みのデザイン、色、そして機能性・・・。服や靴を選ぶのと同じほど、かばん選びには慎重になるものです。

それだけに、「良いかばん」にめぐり合った時の喜びは大きく、末永く愛用されることでしょう。